エステル結合とアミド結合
突然ですが、スパイバー(https://www.spiber.jp/)という会社を知っていますか?
クモの糸が非常に強いということは知られていますが、それを量産することは今まで非常に難しかったのです。しかし、このスパイバーという慶応発ベンチャーが量産化に成功したのです。
クモは高分子のタンパク質の糸を出していて、この糸はアミド結合の物質になります。また、生物の作ったものですので、生分解性も持っています。このクモの糸に類似したものを作れないかと研究されていたのですが、なかなか実現しなかったのですね。
ここで、エステルとの違いを簡単に考えます。
人間の作ってきた合成繊維で、量産しているものはポリエステル繊維ともいうようにエステルが多いのです。ポリアミド繊維とかあんまり聞かないですよね?
エステルは特徴がありまして、あまりエステル結合の部分で極性が大きくないため、水を吸いません。
アミドはNHCOなので、極性が大きく、水素結合をもつこともできます。よって水をよく吸います。また、水が付着しやすいということは酵素による分解も受けやすいということが言えるわけです。(というよりは今までの生物が作ってきた酵素が体内で溶かすものが多かったため、親水性物質用が多い。どこかの入試問題で出ていましたね)
つまり、スパイバーの作成している繊維も生分解性をもち、自然に優しく、鋼よりも軽くて強いというニーズに非常に合うわけなんですね。
こういった繊維は炭素繊維と雌雄を決するかもしれませんし、非常に期待しています。
0コメント